洗濯機の水位検出不良修理

経緯

 実家の5年使った全自動洗濯機(シャープ ES-KS70K。ES-GE70Kのプライベートブランド版)が突然故障した。洗濯槽が満水になっているにも関わらず給水を続け、溢れ出しながら、ついにはエラーを吐いて停止した。さらに、とりあえず排水しようと思い、脱水単独でスタートしようとしたが、排水動作には入るもののいつまで待っても水が抜けてこない。

原因の仮定

標準ランプ急速点滅  コース選択の[標準]ランプが速い点滅をしている。エラー表示の詳細を説明書で確認する。
 「給水できない」ので蛇口を開けたか、断水していないか、給水口フィルタが詰まっていないか確認せよ、とのこと。そもそも水が入り続けて溢れ出すのだから、水の供給に問題があるわけではない。となれば、満水になったことを検出できずに給水し続け、結果、いつまで給水動作を続けても水が増えない(と認識している)ので「給水失敗」のエラーが出るのだろう。だったら水位センサの異常が疑わしい。
 しかし排水もできないとはこれいかに?水位センサと排水弁が同時に故障するものとは考えにくい、もしかして制御回路がイカレたかなあ。そうだったら自力で修理は無理だなあ。家族の意見では、時期が時期だけに、年末年始にかかって修理を呼ぶよりも新品を調達することが決定したので、ダメ元で分解して調べてみよう。

分解

 では、例によって。本記事は閲覧者様による洗濯機の分解を推奨するものではなく、本記事に起因するいかなる結果についても管理人は責任を負いません。
 この機種は配管を外し本体天面後部のビス2つを外すと、配管がつながる部分のカバーが外れる……のだが、四辺すべてツメで止まっているので、先に洗濯槽のフタを外さなければいけない。フタを開けると右のヒンジに白いツメモノがあり、これで本体に固定しているので、これを押し抜いてフタを取る。左のヒンジにはバネがあるので脱落注意。フタを外したら、ツメを外してカバーを取り外す。
水位センサ  この白く丸い部品が水位センサである。メーカによっても違うのかもしれないが水位スイッチとか圧力スイッチ(Pressure switch)と書かれている文献もある。写真では見えにくいが、洗濯槽(脱水槽)の最下部からチューブが伸びており、この洗濯機上部にあるセンサに接続されている。洗濯槽に水が入るとチューブに水が流れ込み、チューブ内の空気の圧力が上がってセンサの可動部品を動かす仕組みになっている。
 で、説明書に「水位センサの異常時」のエラー表示は「水量ランプの点滅」と書かれている。それが出ないということは、センサの電子部品自体は動作しているが正しい水量を検知できていないことになる。試しにセンサを接続している青と橙のケーブルを抜いて電源を入れてみると、期待通り「水量ランプの点滅」が起きた。
 それでは…と観察すると、チューブとセンサの接続部分のシール材が剥がれかけていることを発見。これが原因の一つだろう。ここでひらめいた祖父、チューブを吹いてみた。このチューブは脱水槽下部に直結されているので、水が溜まった状態で吹けば気泡が上がるはずであるが、吹けないほど重かった。何度か試行した結果、ゴボッという音とともに洗濯槽に気泡が上がってきた。つまり、最大の原因は水位センサのチューブが詰まり、実際の水位よりも低い水位を検出していた(チューブ内の水面が洗濯槽の水面より低くなっていた)ことであると判明した。
 お次は排水の不良。これは排水弁を疑うべく、洗濯機を横倒しにしてみたところ、排水管からドロッとしたものが流れ出た。溶け残ってゲル状になった洗剤が排水弁付近に詰まり、排水不良を引き起こしたようだ。冬に粉石けんを使ったのが原因かもしれない。そして、これは完全に憶測だが、水位センサは排水完了を検知する必要があるから排水弁の近くからチューブが伸びているのではないかと思う。水位センサのチューブを吹いたことで排水弁の詰まりも解消した可能性がある。

結果

 元の姿勢に戻し、手動で脱水槽内の水を抜いてチューブを接続して(水位センサのゼロ点を合わせるため、水を抜いた状態でチューブを接続して接着剤でシールする。上の六角ネジで調整できそうだが、資料不足のため諦めた)、動作確認。給水も設定水位で止まるし、排水も正常に回復した。満水まで給水して脱水まで空運転すると、しばらく排水管からドロドロと白い洗剤ゲルが流れ出てきた。
 かくして洗濯機の水位検出不良と排水不良は解決した。時期が時期だけに、作業は水まわりの大掃除へと移行した。しかしあのカビチューブを吹いてみた祖父の勇気に感服。